震災から約1年半が経過した七ヶ浜町の菖蒲田海岸。10月に入ったが天気もよく暖かい日だった。何かの視察団の方々の様子は、震災1年目とは違いどこか和やかなかんじがする。
ここ七ヶ浜は、私が震災前の風景を知っている数少ない場所のひとつだ。幼いころは両親に連れられて海水浴、小学生になると友達と一緒に釣り、成人してからも帰省の折に何となく訪れる、懐かしい記憶のある場所だった。(そういえば、高校生のとき夏休みの部活の練習をサボって、皆で泳ぎにきたということもあった。)
旧サイトにも写真・記事があったので、そちらも再録します。
2016.5.10
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宮城・七ヶ浜町 / 2007年1月
小学生のころよくアイナメ釣りをした松が浜漁港に初日の出を見に行った。
現地に着いたのは6時半ごろ、薄明るくなってきた夜空を背景にして防波提
に立つ人々のシルエットが少しづつ浮かびあがってくる。
ひさびさに夢中になって写真をとっていながらも、ふと思ったのだが、写
真を撮る人間は物事をあまりよく見ていないのではないのだろうか。何とい
っても今まさに大海原から初日の出が昇ろうというときに、自分好みの構図
はないかと小さなファインダーから片目でのぞいているような人種なのだ。
幼なじみの友達とよく釣りにきていたころ、引きのない時間帯はテトラポ
ットに腰掛けながら二人とも黙って水平線を眺めていた。「この海はアメリ
カまでつながっているんだよな。」などと少年らしいロマンチックなことを
ときおり口にしながら。そのときの両方の目はしっかりとあけられていたは
ずだ。
2007.1.8